放射線部
放射線部では、
1.「高画質な画像」
2.「患者様にやさしい検査」
3.「スピーディーな画像提供」
を目標に日々の業務に取り組んでいます。
電子カルテの導入に伴い、放射線科で撮影した画像が各診察室のPC端末から参照でき、スピーディー で正確な診察を実現しています。
又、スタッフ全員が全ての装置に精通し、交代で業務に当たっています。
診療放射線技師 9名(2024年6月現在)
検査実績(2023年)
検査 | 一般撮影 | CT | MRI | 骨密度 | 透視検査 |
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件数 | 21,638 | 6,121 | 2,414 | 659 | 198 |
装置の紹介
一般撮影装置
一般撮影装置はFUJIFILM社のFPD(フラットパネルディテクタ)装置を採用したことで従来装置に比べ約20%程度、被ばく量の低減が期待できます。さらに、部位によってはFUJI独自技術バーチャルグリッドを使用することで被ばく量を大幅に低減することができます。撮影時に画像をリアルタイムで確認でき、よりスピーディーな検査が可能となりました。またデジタル画像処理により骨・軟部・肺等の各種臓器に合わせた最適な画像を提供することができます。
例:微細な骨折や軟部腫瘤(しゅりゅう)等が明瞭に描出できます。
透視撮影装置
透視撮影装置は、X線の透過像をテレビモニター上に映し出す装置です。コンピューターを使用したDR(デジタル画像処理)方式により病変部が的確に描出され鮮明な画像が得られます。
今回採用した装置は受像面に一般撮影同様FPDを用いることで被ばく低減を可能にし、最大17×17(インチ)の大視野にて高精細な画像を提供できるようになりました。
骨密度装置
骨密度装置は短時間で正確な骨密度測定を可能にするGE社製最新骨密度装置『PRODIGY Fuga』を導入しました。骨粗鬆症の診断に有用で、腰椎および大腿骨測定用の装置で検査時間は1部位5分程度(大腿部は左右一回づつ測定)の短時間の検査です。検査方法は簡便で仰向けに寝ているだけで何の侵襲もありません。検査結果もリアルタイムで解析されすぐに診断に役立てることができます。
骨密度装置に関してはアップグレード対応としました。 よって今までのデータを引き継ぐことができ、新装置になっても過去の検査との比較が容易に行えるようになっています。
CT 装置
CT装置は人工宝石ガーネットを用いたX線検出器を搭載したGE社製の最新技術搭載の『Revolution GSI』を導入しました。
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被ばくを大幅低減
新たな画像再構成法ASiR
被ばく線量を最大1/20に。検査目的に応じ最適なX線量で最良の画像診断をご提供いたします。 -
造影剤の低減
デュアルエナジーGSI
いままで不可能であった造影剤を最大1/5まで低減することができます。安心できる検査をご提供いたします。 -
より詳細な画像
最大44%分解能向上
他の100倍感度検出器にて全身領域に対し、より高解像度画像での精密なCT検査をご提供いたします。
MRI装置
MRI装置はGE社製最新技術搭載の『SIGNA Explorer』を導入しました。
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消音・静音撮像
検査中の騒音はMRIの抱える一つの課題です。今回導環境が改善されました。特に頭部領域においては撮られている事がわからないほどまで消音された環境での検査が可能です。 -
低侵襲撮像
放射線被ばくが無いという点で元々侵襲性が低いことはMRIの特徴ですが、今回導入した装置では造影剤を使わずに血管(血流)描写が出来るだけでなく、脳血流評価が可能になりました。また、十数秒の呼吸停止で肝臓内の脂肪含有率測定が可能です。 -
動き補正撮像
検査時間が長く動きの影響を受けやすいというMRIの弱点を克服しました。体動補正技術を取り入れることでじっとしていることが困難な患者の頭部検査や、呼吸停止が困難な患者の腹部検査が可能です。
血管造影装置(アンギオ装置)
島津製作所製 Trinias B12(バイプレーン2方向同時撮影装置)
令和4年4月に血管造影装置を導入しました。
血管内に細い管(カテーテル)を挿入し、造影剤を注入しながら、目的の血管を連続撮影し、血管や目的とする病気の診断や治療を行います。
12インチ FPD搭載により低被ばくで、高画質な検査が可能です。2方向からの同時撮影で、造影剤の量を減少し、検査時間も短縮できます。
より良い“患者のために”を実現するために、当院では主に心臓領域と血管系の診断、治療に用いられています。
ワークステーション
平成22年1月に大分県で1号機となるフジフイルム社製のワークステーションVINCENTを導入しました。CTおよびMRI装置で得られた画像を使用し、骨や血管の立体的な映像の作成や肺、心臓などの解析が容易に行えます。 以下に、ワークステーションで得られた画像を紹介します。
被ばく量低減(最適化)への取り組み
日本は、医療による被ばく線量が世界平均に比べて多いことが問題になっています。当院では、被ばく低減に向けて種々取り組み、患者様が無駄な被曝をしないように努めています。その内のいくつかを紹介したいと思います。
- CT検査
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新しく導入したCT装置では、Real ECシステムが各部位の体厚や組織密度に合わせて線量を自動的に計算し、回転ごとにX線量をコントロールします。このシステムにより、従来比約40%の被曝低減が可能です。
- 一般撮影
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各撮影部位の被ばく線量を、NDD表面線量簡易換算式を使って計算し、日本およびIAEAのガイダンスレベルを超えないように撮影条件を決めています。
IAEA:国際原子力機構
ガイダンスレベル:1回照射当たりの被曝線量がこの値を超えないようにしようという目安
下式を用いて表面線量を算出しています。また当院の表面線量の一例を下表に示します。
D(mGy)=NDD-M(f)×mAs×(1/FSD)2
NDD-M(f) : 装置の係数
mAs : 管電流×時間
FSD : 焦点皮膚間距離
当院の表面線量とガイダンスの比較例
部位 | 当院の表面線量 | 日本のガイダンスレベル | IAEAのガイダンスレベル |
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胸部正面 | 0.15 | 0.3 | 0.4 |
腹部正面 | 3 | 3 | 10 |
腰椎正面 | 3.5 | 5 | 10 |
股関節 | 2.2 | 3 | 10 |